岡山大学惑星物質研究所は、温泉地として有名な鳥取県三朝町にある惑星物質科学を推進する共同利用・共同研究拠点で、岡山大学温泉研究所を母体として1985年に設置された全国共同利用施設で Institute for Study of the Earth’s Interior [ISEI, 日本語名:地球内部研究センター(1985〜94)、固体地球研究センター(1995〜2004)、地球物質科学研究センター(2005〜2015)を経て、2016年に生命の起源の解明に挑むアストロバイオロジー分野を加え、惑星物質研究所(Institute for Planetary Materials)へと改組転換いたしました。研究対象は、地球内部の物質科学から惑星、宇宙、生命の起源を対象としたより広範な物質科学研究へと進化してきました。
1970年代から研究所は先進的な高圧実験、分析化学技術を独自に発展させ、地球や惑星等を構成する物質科学を先導してきました。現在では無機物質の主要・微量元素、同位体組成及び年代測定をシームレスなスケールにおいて解析するだけにとどまらず、より広範な有機化学までを網羅した地球惑星物質総合解析システム(CASTEM)を整備してきました。さらに常圧から地球中心核までの状態を連続的に再現する高圧高温実験を実施する研究基盤を整備し、学術成果へと結実させてきました。この研究基盤と技術力をより普遍的なものとし、さらに発展させることで分野を超えた多くの共同利用研究に還元していくことが研究所の使命となります。
惑星物質研究所は、時代の潮流を見据えて伝統の強みである地球惑星物質に関する基礎科学に加え、新たに物質科学をベースとし、惑星移住計画や地球における環境問題などと密接に関わる表層環境に着目した新しい融合科学を担う新部門を令和6年度の組織整備の概算要求により設置することになりました。この改組により、産学連携を模索しながら研究成果の社会実装化を牽引することを目指すだけでなく、これまでの分析・実験的手法を駆使した信頼性の高い基礎研究力を応用科学へ活用し、それにより生まれる新たな視点からの「知」を礎に、地球を含む統一的惑星物質科学を強力に推進いたします。また、岡山大学の研究マネジメント機能を活かして産学間連携による社会実装力強化とイノベーション創出に貢献してまいります。
惑星物質研究所では、学部学生と修士学生を対象とした「三朝国際インターンプログラム」、じっくりと研究に取り組む,ことのできる独自の5年間博士課程コース、博士号を持った研究者の多様なキャリアパスの創出を目的とした「スーパーテクニシャン制度」を独創的に作り上げ、次世代研究人材の育成において着実に成果を積み上げています。今後も国際教育研究拠点として、広い視座を持ち新たな社会を支える次世代研究人材の育成・輩出して国際的な研究ネットワークの構築を目指していきます。
皆様の一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。