プレート運動はマントルのアセノスフェアの水が駆動する
概要
岡山大学惑星物質研究所の芳野極教授の研究チームと公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)の肥後祐司主幹研究員らの共同研究グループは、高温高圧下で岩石を強制的に振動させ、地震波のエネルギーが失われる減衰という現象をその場観察することに成功しました。
また、マントルの岩石に水の存在することにより、マントルのより深部のアセノスフェアが柔らかくなり、プレート(リソスフェア)がその上をよりスムーズに移動できること明らかにしました。
プレートテクトニクス理論においてアセノスフェアが柔らかくなる理由はよく理解されていませんでしたが、本研究では高圧下で広範囲の周波数にわたる振動実験によって、マントルの岩石の地震波の減衰に対する水の影響を明らかにすることで、アセノスフェアに水が存在することで、海洋リソスフェアとアセノスフェアの境界におけるせん断波速度の急激な低下と、古い海洋プレートの下のアセノスフェアにおける周波数に依存しない減衰の両方を説明することができました。これらの研究成果は7月31日(現地時間)、米国の科学雑誌「The Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載されました。
詳細は 岡山大学がプレスリリースした記事 をご覧ください。
論文情報
論 文 名: Effect of water on seismic attenuation of the upper mantle: the origin of the sharp lithosphere–asthenosphere boundary(和訳:上部マントルの地震波減衰への水の影響:シャープなリソスフェアーアセノスフェア境界の起源)
掲 載 紙: The Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)
著 者: Chao Liu, Takashi Yoshino(芳野極), Daisuke Yamazaki(山崎大輔), Noriyoshi Tsujino(辻野典秀), Hitoshi Gomi(五味斉), Moe Sakurai(櫻井萌), Youyue Zhang, Ran Wang, Longli Guan, Kayan Lau, Yoshinori Tange(丹下義範), Yuji Higo(肥後祐司)
DOI: 10.1073/pnas.2221770120